北欧と日本、布と陶——。 フィンランドが誇るデザイナー、石本藤雄さんのこれまでとこれから。
「茶玻瑠」のエグゼクティブフロアに設えられた石本さんプロデュースの客室。室内には陶芸作品を中心に、石本作品が並びます。
作陶に専念するようになった石本さんは近年、作家として日本で展覧会を重ねています。先述の青山にあるスパイラルガーデンのほか、美術館やギャラリーなどでの展示を行い、さらには愛媛県松山市の道後温泉で行われた「道後オンセナート」にも出展。こうして展示を重ねる石本さんにはいま、世代を超えたファンが数多くいます。
生まれ育った砥部に隣接する愛媛県松山市で今年3月、「道後オンセナート」で作品展示を行ったホテル「茶玻瑠」のエグゼクティブフロアに石本さんが携わった客室がオープンしました。石本さん自らがインテリアを見立て、客室ごとに自然をモチーフにした陶芸作品を設置しています。
ベッドスロー、壁面のパネル、クッションなどにマリメッコでデザインしたファブリックを用いています。
客室には石本さんのスケッチも展示されています。
「茶玻瑠では陶芸作品をどのように持ち込むかをまず考えました」と石本さんは振り返ります。そのうえでやはりマリメッコのテキスタイルが必要だったといいます。
「テキスタイルがあれば空間をつくることができるんです。シンプルな空間だからこそ、壁面に飾られた陶板の作品と宿泊者をつなぐ役割を部屋の随所に飾られたテキスタイルに託しました。気分が変われば、布を変えて趣を変えていけばいいんですよ」
ベッドスローやクッションなどにもふんだんに石本さんのテキスタイルが使われ、柄は部屋ごとにそれぞれ異なります。こうした布づかいは自宅でも応用ができそう。
「この部屋はデザインが強くないところがいいですね。陶板を飾った床の間など、空間のポイントは床にあるように感じました。陶板は正月飾りのように、テキスタイルは花を生けたりするように楽しんでくれればいいんです」
空間を確認して満足した石本さんは「次はキャベツをつくって飾るのもいいかな」と笑っていました。
「茶玻瑠」エグゼクティブフロアのエレベーターホール前に設えられた談話スペース。ここでも壁面にカラフルな作品が並びます。
1階のチェックインカウンターにも、年以来、石本さんの作品が飾られています。
また一方、先日まで開催されていた福岡県にある太宰府天満宮での展覧会「太宰府、フィンランド、夏の気配。」にも参加した石本さん。石本さんは宝物殿を会場に「実のかたち」と題し、太宰府天満宮の象徴である梅の実や、夏に旬を迎える冬瓜、あるいはヤマモモ、ブドウ、木苺、南天の実をモチーフとした陶器作品を出品しました。実のモチーフに挑むきっかけは、年のクリスマスに滞在していたある温泉宿の
当時、マリメッコ本社があったのはヴァンハタルヴィティエ通りで、精肉工場とソーセージ工場のある建物の上部4フロアを占めていました。さらに、通りをはさんでハンドプリント工場も。こうしたマリメッコを統率するアルミは、常に背筋をぴんと伸ばして仕事に没頭、社内でもめごとが起こると「どちらも悪い」と一蹴するなど、凜とした人物でした。と同時に、社員思いの人物でもありました。
「夏至の時期の週末になると、アルミのサマーハウスに社員を招いてくれました。ヘルシンキから1時間ほどのポルヴォーの街です。皆と楽しくお酒を飲んでいると、いつしか音楽が流れてきて、屋外でのダンス大会が始まったりもしました。『さあ、踊りましょう！』と声をかけてくれたのもアルミでした」
「サマーハウスに集ったアルミの親友には著名な俳優もいて、前夜祭の焚き火の後、静かな森のなかで大女優が朗読する詩を聞いたりもしましたね。
年、マリメッコは25周年を迎えます。このとき社内のデザイナーを紹介するパンフレットとポスターが制作され、石本さんについてアルミは、「地球のどこで暮らそうと、そこが自分のホームグラウンドであるかのようにくつろげる人物で、「「創造活動においては、決して妥協を許しません」と記していました。アルミの文章の一部をご紹介しましょう。
「石本藤雄のデザインは、徐々に使い手になじみ、次第に親密な間柄を築いてゆくように考えられています。彼は異なるふたつの色彩世界の持ち主です。ひとつは、ブラック、ブラウン、グレーの色彩からなる世界。もうひとつは、鮮やかな純粋色からなる万華鏡的な世界。Fujiが創造する世界は、厳しく慎ましいと同時に、陽気で、喜びに溢れているのです」
Courtesy of Fujiwo Ishimoto. マリメッコ25周年を機に製作されたデザイナー紹介のポスター。
Interview
I do not organise my sketches and documents. It is the weakest part of me. I consider it hard work
Exposure to ceramics during university and encounter with Marimekko
ー I was told by Mr. Motomi Kawakami in a previous interview for this PLAT design archive that there were a variety of designers who were classmates at Tokyo University of the Arts. I heard that Mr. Shin Matsunaga, Mr. Takahisa Kamijo and Mr. Ishimoto were there. So I was very interested in talking to you about your work and archive materials, I contacted you.
Ishimoto There were many other people who were classmates at the Tokyo University of the Arts. Among picture book authors, there was Ms. Kayako Nishimaki, who drew "Watashi no Wanpisu" (KOGUMA Publishing, ), and Mr. Kazuo Iwamura, who worked on the "14 hiki sirizu" (DOSHINSHA PUBLISHING, ). I think you have probably seen them before. Tokyo University of the Arts had until then been known as Zuan-ka, which taught graphic and product design, but I was lucky. I entered the university in , and in my generation the number of students was increased from 25 to 70, and the department was changed to the Crafts Department, which combined d
石本藤雄は愛媛出身のアーティスト・デザイナーです。年から年までフィンランドを代表するデザインハウス・マリメッコ社で働いた石本は、様々な技法やスタイルを駆使して数多くのテキスタイルデザインを生み出しました。創意工夫に満ちた種類以上のデザインは、同社で歴代2位の功績を残し、今なおマリメッコ社の定番デザインの一つとしてリバイバルされています。石本は、年からフィンランドの伝統的な製陶所・アラビア社のアート部門にも属し、草花や果物のレリーフを含む表現力豊かな陶芸作品を多数生み出しました。陶芸家としての石本の創作は、日本とフィンランドの自然・風景、四季、色、かたちから影響を受けています。そして、その源には、故郷・愛媛の原風景があります。年に半世紀ぶりに故郷に戻った石本は、新しい気持ちを胸に、人々とのつながりを深めながら、創作を続けています。
Fujiwo Ishimoto is a Japanese artist and designer. He worked for Marimekko (Finland) from to , and He is the second most accomplished designer in the Marimekko's history, having produced a remarkable + fabric prints with various styles and techniques. His designs are mostly influenced by nature, and the natural scenery of his hometown in Ehime has greatly impacted his design. He also has a brilliant talent for creating changing moods with colors. So many fabric designs continues to be re-released as an eternal classics of , he also became a member of the art department at Arabia, a famous Finnish pottery. During his time there, he produced large number of expressive ceramic works featuring relief designs of flowers and fruits, among being away for half decades, he returned to his hometown of Ehime in and is now pas
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